この本は1997年に出版され、毎日文化賞などを受賞し、ベストセラーともなったもので、これまでに累計340万部も販売されたという。この本の主人公は実名で書かれた作者の妹尾肇であり、誰が見ても作者自身の自叙伝と見做される作品である。
私は彼と全く同年齢であの戦争を体験してきた者として大いに興味を持ったが、そこに書かれている内容は余りにも当時の事実と異なる所があるので、2005年に自由主義史観研究会の機関紙「歴史と教育」でその誤りの幾つかを指摘しておいた。
これは本ブログの随筆に含まれているので是非目を通して頂きたい。このブログにおける随筆の中には私の「終戦の頃の思い出」[JOJ Wing国際派の情報ファイルに掲載、2008年]も載せておいたので参考にされたい。これは最近、香川県歴史研究会の機関紙「讃岐の山なみ(6号)2013年」にも掲載された。
戦争当時のことを書いた小説やTV、映画などで、話を面白くするためか自虐史観からか、事実をことさら捻じ曲げて、当時の軍隊をいやらしく描き、戦中はとても暗い時代であったとするものが多く見られる。しかし、ありもしなかったことを、さも真実であったように見せかけるのは慎んでもらいたいものである。
当時は確かに経済的には今よりも随分と貧しい時代であったが、人情は厚く、子供たちも素直で、いじめなどなく、お互いに切磋琢磨、現在の人たちが考えるよりも遥かに明るい時代であった。
歴史は当時の歴史的背景を正しく理解し、その時代の価値観で評価すべきでものであって、現在の価値観やイズムで解釈してはならない。
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